社用車の入れ替えやリース満了のとき、ETCカードと車載器の扱いで迷う法人の車両管理担当者に向けて、ETC車載器の再セットアップが必要になる場面と、社内で済ませておきたい手続きを整理します。車が新しくなると、ETCクレジットカードなどはそのまま使えても車載器に登録された車両情報が合わなくなることがあります。本記事では、通信商材の卸売とクレジット加盟店・法人ETCの3事業を手がける株式会社リンク・クリエーションが、公式情報をもとに「車が変わるとき」の実務をまとめました。
まず押さえたい:ETCカードと車載器は別のもの
車の入れ替えで混乱しやすいのは、「ETCカード」と「ETC車載器」を同じものとして考えてしまうことです。両者は役割がまったく違います。
▶ ETCカード=料金を支払うためのICカード
ETCカードには、クレジットカード会社が発行するETCクレジットカード、高速道路会社が発行するETCパーソナルカード、大口・多頻度割引制度のためにNEXCO西/中/東日本が発行するETCコーポレートカードがあります。NEXCO西日本のよくあるご質問(ETC)では、ETCカードと車載器は独立していて、ETCカードはどの車の車載器でも使えると説明されています。社用車が替わっても、ETCクレジットカードはそのまま新しい車で使えるということです。ただし、ETCコーポレートカードはこの例外です。事業協同組合を通じて大口・多頻度割引を利用している場合のカードも、ETCコーポレートカードにあたります。
同じページには、ETCコーポレートカードは「カード上に表示された車両番号を有する車両においてご利用いただいた場合のみ有効」とあります。NEXCO東・中・西日本の「ETCコーポレートカード利用案内書」(令和8年1月)でも、カードを表示された車両以外の車両に利用したときは、警告とともに1年以内の期間を定めてカードの一部の割引停止の対象になるとされています。コーポレートカードを使っている会社は、旧車両のカードを新しい車に挿して使わず、カード側の手続き(後述)と新しい車で使い始められる時期を取扱窓口に確認してください。
▶ 車載器=車両の情報が登録された機器
同じよくあるご質問によると、セットアップとは車検証の車両情報を車載器に登録する作業のことです。車種によって料金が変わる有料道路で、正しく課金されるようにするために行います。車載器は「どの車に付いているか」の情報を持っているため、車が変われば登録内容も見直しが必要になる、というのが基本の考え方です。
再セットアップが必要になる主なケース
NEXCO西日本の案内ページ「ETC車載器の再セットアップについてのご案内」では、車両とETC車載器の情報は常に一致していなければならないとしたうえで、再セットアップが必要な場合として次のような例を挙げています。
- 車載器が付いた車のナンバープレートが変わった場合(希望ナンバーへの変更、用途変更、引越し等による登録変更など)
- 車載器付きの中古車を購入した、または譲り受けた場合
- 車を買い替える際に、旧車両の車載器を外して新しい車両に付け替えた場合
- 車載器の付いた車を、けん引できる構造に変更した場合
同ページでは、再セットアップにはETC車載器管理番号と車検証が必要で、車載器を購入した販売店かETCセットアップマークのある最寄りのセットアップ店に相談するよう案内されています。よくあるご質問でも、セットアップは登録されたセットアップ店でしか行えないとされています。費用については、よくあるご質問で、車載器の購入・取り付け・セットアップに費用がかかり、車載器の種類や店舗により異なるとされています。予約の要否も含めて事前に問い合わせておくと、段取りが組みやすくなります。
登録情報が合わないまま使うとどうなるか
同じNEXCO西日本のページは、セットアップ情報と車両情報が異なる状態でETCを利用することはETCシステム利用規程違反になるとしています。あわせて、開閉バーが開かない可能性、正しい通行料金が請求されない場合があること、ETC利用照会サービスなど一部のサービスが使えないこと、時間帯割引などのETC割引が適用されない場合があることが示されています。さらに、悪質な利用と判断された場合は不正通行車両として扱われることも明記されています。営業車が料金所で止まってしまえば業務にも響くため、納車日やナンバー変更日から逆算して手配しておくのが安全です。
パターン別:車が変わるときに確認すること
新しい車載器付きの車に乗り換える
新車側に新しい車載器を取り付ける場合は、その車の情報でセットアップされているかを納車時に確認します。ディーラーや販売店に取り付けを任せた場合でも、セットアップ証明書(または申込書)を受け取り、車検証と一緒に保管しておくと後の確認が楽になります。ETCクレジットカードやETCパーソナルカードは、そのまま新しい車で使えます(ETCコーポレートカードは後述の届出が必要です)。手放す旧車両については、カードの抜き忘れがないかを必ず確認してください。
旧車両の車載器を新しい車に付け替える
先ほどのとおり、車載器を別の車に付け替えた場合は再セットアップが必要です。このとき、付け替える車載器が新しいセキュリティ規格に対応しているかも確認しておくと安心です。詳しくは下の「旧セキュリティの車載器」の節で説明します。
リース満了で車を返却し、次の車に替える
リース車を返却するときは、まず車内に残したETCカードがないかを確認します。NEXCO西日本のよくあるご質問でも、防犯上からもETCカードを車内に放置しないよう案内されています。車載器が返却対象の付属品に含まれるかどうか、取り外しが必要かどうかはリース契約の定めによるため、契約書やリース会社に確認してください。新しいリース車に車載器が付いている場合も、その車の情報でセットアップされているかを納車時に確かめておきましょう。
車はそのままで、ナンバーだけが変わる
希望ナンバーへの変更や、引越し等による登録変更でナンバープレートが変わる場合も、再セットアップの対象です。NEXCO西日本の案内では、国土交通省が令和4年1月4日から運用している「個人が引越の際、オンラインにより自動車の変更登録申請を行う場合に、ナンバープレートの交換を次回の車検時まで猶予する特例」を利用した場合は、新しいナンバープレートに交換する際にセットアップが必要になると補足されています。一方、よくあるご質問では、ナンバープレートの変更を伴わない所有者や住所のみの変更の場合は、再セットアップは不要とされています。
ETCコーポレートカードは「登録車両入替届」が必要
ETCコーポレートカードを使っている場合は、車載器の再セットアップとは別に、カード側の手続きが必要です。NEXCO西日本の「利用申込関係書類」のページには、ETCコーポレートカードの諸手続きの様式として次のものが掲載されています。
- 登録車両入替届(別記様式16):登録車両を入れ替えるとき。添付書類は自動車検査証の写し(電子化の場合は自動車検査証記録事項の写し)
- 届出事項変更届(別記様式15):登録車両に変更がなく、ナンバープレートのみを変更するとき。添付書類は変更後の自動車検査証の写し。利用案内書では、登録陸運支局の変更に伴う車両番号変更の場合、ETCコーポレートカード再発行申込書(別記様式7)もあわせて必要とされています
- ETCコーポレートカード返却届(別記様式6):カードの一部が不要になったとき
同ページでは、届出によっては添付書類が必要な場合があるため、事前に取扱窓口へ問い合わせるよう案内されています。また、利用開始後の諸手続きには、印鑑証明を提出している印鑑を使うよう求められています。事業協同組合を経由して契約している場合は、まず組合の窓口に手順を確認するのが確実です。車両の入れ替えが決まった時点で窓口に連絡しておくと、新しい車での利用開始が遅れにくくなります。
見落としやすい周辺の手続き
▶ ETCマイレージサービスの登録情報
NEXCO西日本の再セットアップの案内には、ETCマイレージサービスを利用していた人が新しい車載器に交換したり再セットアップしたりした場合などには、登録情報の変更が必要と書かれています。ポイントを貯めている車両がある場合は、入れ替えのたびに登録内容を見直しましょう。
▶ ETC利用照会サービス
前述のとおり、車載器の登録情報と車両が合っていないと、ETC利用照会サービスなど一部のサービスが使えなくなります。利用明細や利用証明書をこのサービスで取っている会社は、入れ替え後に新しい車の利用分が確認できるかを早めに見ておくと安心です。経費精算に利用証明書を使っている会社は、ETC利用分のインボイス対応と証憑の扱いもあわせてご確認ください。
▶ 社内の管理台帳
車両番号・車載器管理番号・ETCカードの対応関係を台帳で管理している場合は、入れ替え当日に更新します。台帳の作り方やカードの受け渡しルールは、社用車のETCカード管理ルールで詳しく紹介しています。
旧セキュリティの車載器は入れ替えのタイミングで確認を
ETCでは、決済情報を守るためのセキュリティ規格の変更が予定されています。NEXCO西日本のよくあるご質問(ETC)によると、変更の具体的な時期は未定で、現行のセキュリティに問題が起きなければ「最長で2030年頃までとなる予定」、問題が起きた場合は早まる可能性があります。また、変更後も従来のセキュリティ対応車載器を使い続けることはできないとされています。
新旧は車載器管理番号や識別マークで見分けられます。同社が掲載している資料「新・旧セキュリティ対応車載器の識別方法」では、19桁の管理番号の先頭が「1」なら新セキュリティ対応、「0」なら旧セキュリティ対応とされ、管理番号は取扱説明書・保証書、セットアップ申込書・証明書、車載器本体で確認できます。ETC2.0のロゴがある車載器にも旧セキュリティ対応のものがあり、識別マークで区別すると説明されています。型式によってはマークが描かれていないこともあり、見分けられない場合は購入した販売店かセットアップ店に確認するよう案内されています。旧車両の車載器を付け替えようとしている場合は、再セットアップの費用をかける前に規格を確かめ、新しい規格の車載器への交換も含めて検討するのが合理的です。
入れ替え前後のチェックリスト
▶ 入れ替えが決まったら
- 新しい車に車載器が付くのか、旧車両から付け替えるのかを決める
- 付け替える車載器のセキュリティ規格(管理番号の先頭の数字)を確認する
- ETCコーポレートカードなら取扱窓口(または組合)に連絡し、必要な様式と添付書類を確認する
▶ 納車日・返却日
- 返却・売却する車からETCカードを抜き取る
- 新しい車のセットアップ証明書を受け取り、車検証と一緒に保管する
- 社内台帳の車両番号・車載器管理番号を更新する
▶ 入れ替え後
- ETCマイレージサービスの登録情報を変更する
- 翌月の利用明細で、新しい車での利用が正しく記録されているかを確認する
車両コスト全体の見直しを考えている場合は、ETC+ガソリンカードで経理を効率化する方法や法人ETCカードの導入メリット、高速道路の深夜割引・休日割引も参考になります。運送業・配送業の方にはETC・ガソリンカードの見直しによる経費削減、燃料費の管理には法人ガソリンカードの選び方もおすすめです。
車両以外の「法人の固定費」もまとめて見直す
車の入れ替えは、営業車に積む通信機器や店舗の決済環境を見直すきっかけにもなります。外回りの通信手段ならポケットWi-Fiの法人契約と個人契約の違いやポケットWi-Fiで回線を二重化するBCP対策、店舗の決済なら決済端末の種類と選び方やキャッシュレス決済の手数料比較をご覧ください。
また株式会社リンク・クリエーションは、UROCOMM JAPAN正規代理店として希少な通信商材を業界最安級の卸価格で代理店パートナーへ提供しています。商材を卸して終わりではなく、販売フローの構築からトークスクリプトの共有まで、売れるまで伴走するサポートを行っています。法人のお客様を多く抱える事業者の方は、通信商材の卸会社を選ぶポイントやWi-Fi代理店が安定収入を生む仕組みもあわせてご覧ください。
ETCカードやガソリンカード、法人向けサービスについてのご質問は、お気軽にご相談ください。
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